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2008年1月17日 (木曜日)

5000万署名

昨日、僕のブログへのアクセス数が5000を超えた。5000という区切りなので、何か5000という数字にまつわる記事でも書こうかと考えたとき、真っ先に頭に浮かんだのは、国鉄労組の「5000万署名」の記憶である。「5000万署名」というのは、今のJRが国鉄だった頃、「国鉄の分割・民営化」反対のため、国鉄労働組合が中心となり、総評の支援も受けて全国的に取り組まれた署名活動で、目標とした5000万人には届かなかったが、3600万人という署名運動史上最高の署名数を獲得した。それでも、その民意は反映されなかった。

「国鉄の分割・民営化」がなんであったのかについて書き始めると、とてもこのブログには書ききれない。また、残念ながら、そのことについて書く資格も今の僕には無い。ただ、考えていることのごく一部だけ書きたい。

数年前、小泉内閣での「郵政民営化」法案のためだけの総選挙において、小池百合子等の「刺客」を使った小泉自民党が圧勝した。僕は自民党の「郵政族議員」に肩入れする気はもうとう無いが、あのときの投票した国民の心理として、詳しい内容を知ろうともせず、「民営化」イコール「良い事」という意識があることを、残念に思う。「公務員」という言葉から来るイメージとして、「お役所仕事」「身分と収入の安定」等があるだろうが、「働かないで権利ばかり主張する」という攻撃は、マスコミ等も、ごく一部の事例を全てのことであるかのように「これが真実だ」と報道し、「みなさん、公務員って、遊んでいて高い給料を貰っているんですよ」と国民の意識に植えつける。今の「年金問題」でも、自民党が作業の進まない理由に「労働組合が権利を主張ばかりして、仕事をしない協定ばかり締結しているからだ」と、社会保険庁の職員個人やその職員の作る労働組合を非難する。

JRが国鉄だった頃、政治情勢は、社会党が一定の力を持っていた。共産党も今より議席が多かった。労働組合も、そのナショナルセンターの「総評」は「同盟」よりも多くの組織人員を持っていた。そして、国鉄労働組合は総評の中核の一員として、有力な単産であった。…… こういう時代背景の中で、「国鉄の分割・民営化」は行なわれようとした。その目的は、国民に対しては「膨大な債務解消」と説明したが、「国家権力」が国鉄労働組合を「何とかしたい」から行なったことであることは、現在では、多くの著作でも明らかとなっている。

やり方は巧妙だった。まず、あらゆるマスコミがいっせいに国鉄職員の「ヤミ休暇」「ヤミ休憩」「業務中の入浴」等の記事を連日報道した時期があることを覚えているだろうか? 国鉄では「民間企業ではあり得ない怠惰な労働環境」が日常茶飯事で、その元凶の国鉄労組は法律違反の「ストライキ」ばかり実施して、国民のことは全く考えていないという攻撃である。また、政府の無策を棚に上げて、「国鉄の膨大な債務は、こうした職員により作り出された結果である」とした。そして、残念ながら、この「民意を国労に敵対させる」作戦は成功したといってよかっただろう。「5000万署名」を訴えると、国労の名前を出すだけで、その署名の趣旨すら聞かずに拒絶された記憶がある。

そして、国鉄とJRは別会社とし、JRに国鉄職員の採用義務はないものとして、国労組合員をJRから意図的に排除した。この排除を「脅し」の道具とされたので、国労組合員は、その大部分が国労を脱退し、別の組合に入るか、新しい組合を組織した。現在のJRにおける労組の組織実態については知らないが、あの当時、何と多くの新組織が作られたことか。別会社にしたのは、国労潰しという目的がメインであったが、職員の配置転換を意のままに進める目的もあった。国鉄のままでは、労働者の了解の無い配転は違法になる。新会社への「再就職」という形を取り、応じなければ「今までの国鉄」を引き継ぐ「国鉄清算事業団」に送るぞと脅かす。形式上はJRという新会社が新規採用するという形なので、国鉄での「配置転換協定」等は関係ないという理屈であった。そして、露骨な採用差別も、国民に対しては基本的には「国労組合員がほとんど採用されないのはまったくの偶然の結果」としながらも、「国民無視の国鉄にした元凶たちの集まり」として宣伝し、国労からの「採用」要求に対しては、国労が各地で行っていた地方労働委員会への不当労働行為申立ての取り下げを条件とするなど、国労の全面降伏と方向転換を求めた。そして、国労を脱退した者はほぼ全員が採用されたのに対し、国労に残った者は、資質や能力・経験に関係なく新会社には採用せず、「国鉄清算事業団」職員とし、例えば今まで電車運転士だった者にビアガーデンのウエイター等の仕事に就かせていった。また、国労組合員だけを「余剰人員」であるとして「人材活用センター」に隔離した。そのセンターは「人材活用」とは名ばかりで、草むしりなどの業務につかせていじめ抜くのが目的なのだが、当時の「国鉄の膨大な債務は職員が多すぎるから」という宣伝が効を奏していたため、国民の中には、「余剰人員がJRに採用されないのは当然」という意識が浸透してしまっていた ……。

「民営化」イコール「良い事」の意識を持っている人は多いだろう。「官公庁」という単語だけで人は良くないイメージを持ってしまう。ちょうど、僕のようなスケベなおじさんが「女子大生」という単語を聞くだけで、良からぬことを考えてしまうのと同じだ。

しかし、僕たちは、「官公庁」「公務員」の仕事の中身ややり方をどれだけ知っているだろう。それが民営化されるとどういうメリットが生まれるのだろう。「合理化」?言うのは簡単だが、どこの部署のどういう部分をどう合理化すべきかきちんとした知識を持ち、考えて言っていますか?「民間なら首切りや失業があるのに、公務員は雇用が保証されている」からというのでは「合理化」の理由にはならない。それは単なる「やっかみ」だ。そこで働く者の意識として、職務怠慢の原因となる「可能性」は否定しないが、雇用が保証されていることと職務怠慢とは別の次元の話だ。「可能性」と「現実」を全て同じに論じることはできない。極論が過ぎるかもしれないが、そんなことを言っていたら、「可能性」だけなら、全ての人には「殺人者」になる可能性がある。そう言われて、何もしていないのに逮捕されたり投獄されたりしても良いと考えていますか?

…… 僕は、別に公務員を擁護するつもりは無い。また、僕自身、働いていた会社がつぶれたり、「要らない」といわれてリストラされた経験を持っているから、雇用の安定は本当にうらやましいと思う。だけど、「うらやましい」という感情だけで、公務員を否定したいとは思わない。

「国鉄の分割・民営化」が進められようとした時期、国鉄労組に加盟する職員は遊んでばかりいると本当に思っていた人たちに聞きたい。あなたは国鉄の職場の何を知っていたのかと。

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