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2008年2月12日 (火曜日)

焼きたてのパン

焼きたてのパンを食べたことがありますか? お店で「焼き立てだよ~」と言って売っているなんてもんじゃなく、本当の焼き立てだ。僕は、学生時代にバイトしたパン屋で何度も食べさせてもらった。

まず驚くのが、あの「固い」ドーナッツが、口に入れただけで溶けること。テレビで「溶けちゃう」とタレントが言うが、本当に溶けちゃう。普通の食パンも、バター・マーガリン・ジャム等をつけるなんてもったいない。それだけで美味すぎる。

ところが、この焼き立てに困ることがひとつあった。「切れない」のだ。食パンが焼けたら、少し冷やして専用の刃が回転するスライサーで切るのだが、刃を丁寧にとぎ、1枚切るたびに布で拭いても、柔らかすぎて、思うように切れない。お店には焼きあがる頃に買いに来る常連さんが何人もいて、1斤を「5枚に切ってね」と言ってくる。待っているからあせるのだが、これがけっこうむずかしかった。熱くて5秒も触っていられないくらいのパンは、食べるのには最高だが、切るにはなんとも困った商品だった。

「お酒は二十歳になってから」という記事に書いた高校2年生の女の子を初めて抱きしめたのは、この食パンが原因だった。カウンターで、僕が商品を陳列し、彼女がパンをスライスしていた。「キャッ」という小さな声に振り向くと、彼女はこちらに背を向けて作業していたのだが、その背中がゆっくりと僕のほうへ倒れてきた。抱え込みながら、いつものように「ふざけているな」と思ったのだが、そうではなかった。売り場と工場との間の大きなガラスに、テレビに出てくるような血の飛び散った跡。彼女は気絶していた。気絶した人間というものを見たのは、病院に勤務していたとき以外ではそのときだけだ。

もちろん救急車が呼ばれたが、幸い、指は「切断」まではいかなかった。そしてすごいのが、彼女は一日休んだだけで、またバイトに復帰した。スライサーも恐れず、また平気でパンを切っている。正直言って、飛び散った血の印象が強烈で、僕のほうが、パンを切るのが恐くなっていたのに。

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