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2008年2月 7日 (木曜日)

「値段は気にしないでね」

世の中には、「偶然」ということがよく起こる。これは、25年位前に経験した偶然の出来事。

友人と二人で寿司屋に入った。回転しないほうの寿司屋だ。僕も友人もそんなに”たち”の寿司屋に入ることは無いのだが、その日は余裕があったのかな。今まで一度も入ったことの無い店がアパートの近くにあったので、片町から帰ってきたあと、「入ろうか」ということになった。

客は僕たちだけ。 食べ始めてしばらくすると、店の主人が「値段は気にしないで安心して食べてね」と言ってくる。「うん」とか返事をしながら、「やっぱり貧乏人だということがわかるのかなあ」と考える。10分ぐらいしたら、また同じようなことを言ってくる。ここで少し僕は不審に思う。「もしかしたら、とんでもなく高い店なのかな」と思ってしまう。そのうち、注文していないものを「これも食べる?」と出してくる。いかにも値段が高そうな食材を使っている。ここへきて、不安はピークに達する。やばい店に入ったんじゃないかと考える。友人も同じ思いのようだ。早めに切り上げたほうが身のためか?……

実は、その店は、その日で営業をやめようとしていたのだ。確かに、人通りの少ない場所で、続けるにはお客は少ないのかもしれない。そして時間は22時頃。主人は、僕らを最後の客として、その日と前日に仕入れた食材を、残す必要も無く、「二人で1万円」で食べれるだけ食べさせようとしてくれたのだ。酒も入れて考えると何万円分の寿司だったろうか。僕らはその店に初めて入ったのだが、偶然にもその店の最後のお客となったのだ。  美味かった。

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