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2008年5月27日 (火曜日)

鱗町交差点地下道

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僕は、大学に入学した当時、金沢市の「幸町」に住んでいた。そこから歩いて金沢城址内にあった大学に通う。途中、「鱗町」「本多町」と歩いていく。この鱗町交差点は、片道2車線の道路の交差点だが、ラッシュ時の渋滞は有名で、横断歩道は無く、横断地下道となっていた。

大学に入って間もない頃、この地下道に一人のおばさんが住み始めた。すぐそばのMRO(北陸放送)会館前は、通学時、いつも「日雇い労働者」の集合場所になっており、浮浪者には、近くて良かったのかもしれない。僕は、初めて見る「地下道に住む人」に驚きながらも、避けるように歩いた。かかわりにはなりたくなかった。

このおばあさんに、僕とは全く違った対応をした女性がいた。彼女も大学に歩いて通っており、僕と同じように鱗町交差点地下道は通学路だった。彼女が初めてそのおばあさんを見かけたのは、大学からの帰り道。驚いたのは僕と同じだが、そこからが違った。彼女は走って自分のアパートへ帰り、自炊していたため部屋に残っていたご飯でおにぎりを何個か作り、おばあさんのところへ持って行ったそうだ。「どうぞ、食べてください」と。 この話を僕が聞いたのは、彼女がすでに何回かその行為を行なった後だった。彼女にも用事があり、毎日ではない。僕は、「癖になるぞ」「変なことに巻き込まれたらどうする?」と言ったが、彼女からは、「あなたは冷たい」という言葉が返ってきただけだった。そう、僕は冷たく、彼女は優しかった。僕は見ず知らずのおばあさんが生きるか死ぬかより、自分の事が大事だった。そして彼女は、変なことに関わり合いになるかならないかより、目の前にある自分にできることを、まず、しようとしたのだ。

このおばあさんがそこにいたのは10日ぐらいだろうか。いなくなった後、彼女に行方について聞いてみたが、彼女も知らなかった。

     

  

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