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2008年5月 3日 (土曜日)

内川ダム②

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さて、「内川ダム」といえば思い出すことがある。

若い頃、僕と、僕の友人Kと、Kの友人のA、Bの4人で、夜、蝉を採るための仕掛けをしに、ダムへの道近くを車2台で出かけた。仕掛けといってもスイカを食べた後、その皮を木の根っこあたりに置くだけだ。甘い汁に誘われて蝉が集まる予定。皮を置いた後、一旦、Kのアパートへ引き返すことにした。AとBが乗った車が先に走り、後ろの車をKが運転し、僕はその助手席に乗っていた。夜道の暗い回りくねった下り坂を、車のライトだけを頼りに走っていく。

突然、前を走っていた車が、「キキキー」と大きな音を立て始めた。いわゆるドリフト走行といった感じだ。後ろのタイヤが横滑りし土煙を上げる。僕は「遊んでいるな」と思った。ところが車は道路に対して直角にまで向きを変えた後、スローモーションを見るような感じで、崖に向かってまっすぐ進み、暗闇に消えた。

結論を言うと車は大破した。しかし、AとBは奇跡的にかすり傷程度だった。理由は、崖自体は道路から15mくらいの深さで、垂直に近いといってもいい急斜面なのだが、竹がまばらに生えており、その竹の2~3本が、ひっくり返った車を途中で支えてくれたのだ。「奇跡的」どころか「奇跡」そのものだ。そんな格好なので、車から這い出るのが難儀だったが、AとBは脱出できた。運転していた者は「女のことを考えていた」そうで、助手席の者は真っ暗な崖に向かって落ちていくとき「ああ、ここで死ぬのか」と思ったという。そのまま朝まで4人でいたら、これも全くの偶然だがレッカー車が通りかかり、その車を引き上げてもらった。

この事件を僕が覚えているのは、もちろん大きな事故なのだが、それだけではなく、実は、自分の行動に対する「恥」がある。車が崖下に転落した後、僕らの車も急停車した。道の上から「おーい」と呼びかけながら、Kはその急斜面を何のためらいも無く降りていった。だが、僕は真っ暗な急斜面にためらってしまった。真っ暗な崖なのだ。自分が足を滑らせるという恐怖があった。大怪我をしているかもしれない者を助けに行くという使命感の前に、自分の身を案じてしまった。その時点では彼らが「かすり傷程度」なんてわかってはいない。だが、足が動かなかった。

この事故で、僕は「自分の人間性」を思い知らされた。時々、世の中のいろいろなことに対し、「こうすべきだ」「こうあるべきだ」と熱弁をふるう僕の「正義」の正体は、こんなもんだ。

    

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