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2008年5月 9日 (金曜日)

高級ウイスキーのセット

6544

2年ほど前のこと。

夜の10時ごろ、車の通行量が少なくなった片道2車線の道路を走っていた。車が少ないといっても一応は幹線道路だ。そこへ突然、左の細い道路から車が飛び出してきた()。一旦停止をしないどころか、おそらく時速40kmくらいは出していただろう。僕の直前を横切る。僕は急ブレーキをかけたが、正直「ぶつけた」と思った。ところが本当にギリギリでぶつからず、相手の車は、キキキーッとタイヤをきしませながら左へ急ハンドルを切る。反対車線にはみ出しながら、車の向きが回りすぎ、だいぶスピードの落ちていた僕の車に再び向かってきた。そして、ゴツンとぶつかった()後、猛スピードで走り去った()。

完全な「当て逃げ」だ。音の大きさのわりには、こちらの車の傷はたいしたことはなく、バンパーが凹み、塗装は剥げたが、すでに「Dレンジが入らず2速でしか走れない車(過去の記事で書いてある)」になっていた僕の車は、あちこちに傷がついても直しもしていなかったので、新たな傷もそんなに目立たない。だが、一旦停止をしなかったあの乱暴な運転は許せない。当然、警察に電話した。走り去っていく車のナンバーは下2桁だけ覚えられた。車種はわからないが形はミニバン、色は紺色系統だった。

おそらくたいした事件も少なく暇だろうと思われる(?)石川県警は、最初の電話の「当て逃げ」の言葉に色めき立ち、相手の車の情報と「どの方向へ走り去ったか」の情報で、僕がいる現場へ向かう車と相手の車が走ると思われる道へ向かう車の2台を手配したらしい。だが、僕の車の傷になんとなく落胆した雰囲気があった。もう少し大きな事故を期待(?)したようだ。それでも詳しく事情を聴いてくれ、僕は「わからないが、あの運転の様子から、相手は酔っ払っていたのではないか」と発言した。そして警察は「手配します」と言い、僕の連絡先を聞いて引き上げていった。こんな小さな事故では警察は本気にならないなと思いつつ、僕も「警察に通報したこと」に満足して帰ることとした。相手の車もそんなに傷んでいないだろうから修理屋から足がつく可能性も低いと思われた。

ところが、2日後、警察から電話がかかってきた。なんと加害者が隣にいるという。加害者はその日は家に帰ったものの、翌日明るくなって家族に車の傷の原因を問い詰められ、隠しきれずに打ち明けたところ、娘さんに「警察に自首しないなら二度と口を利かない」と言われ、1日迷ってから「自首」してきたらしい。電話で話してみると、警察署内にいるということを差し引いても「人の良いおっちゃん」という感じだ。怒りもとっくに収まっていた僕は、「傷だらけの車なので、いまさら修理しなくても良いですよ」と言ってあげた。事実、そこだけ治しても、車の見た目はあまり変わらないのだから。

その日の夕方、その加害者が僕のアパートに訪ねてきた。同年代の方だった。そして持ってきたのが高級ウイスキーのセット。価格はわからないが、たぶん今まで飲んだことの無いものの2本入り。僕は本当に修理は遠慮した。一週間も経てば、凹みはともかく、どの傷がそのときの傷かも覚えていないだろう。「娘さんに叱られて自首」というのも考えようによっては「正直な一家」ということだ。警察に発見され、しぶしぶ白状し、言い訳でも言おうものなら断固請求しただろうが、このときは美味しい酒に満足した。

   

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