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2008年6月25日 (水曜日)

映画「Keiko」

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テレビや映画の「ドラマ」の物語には、人によって好き嫌いがあるだろう。今やっているキムタク主演の「総理大臣ドラマ」は、あまりに現実離れ過ぎていて、見る気が起きない。議員が「心情」で簡単に国会での投票を変えるなんて、よくもそこまで薄っぺらいドラマを作れるものだ。

「リアリティ」について少し書いていく。 たとえば、僕は今1時間くらい連続してパソコンに向かっているが、この状態を延々と映したものは映画にはならない。主演男優の容姿は置いといて、ならない理由は、「会話」も無い、「事件」も無い、1時間の間に「物語」が存在しないからだ。 現実の「食事」のシーンでは、家族の仲が良くても10分くらい何もしゃべらないで全員テレビに見入っていることはよくある風景だが、「ドラマ」ではそんな10分間はありえない。深刻な問題について話し合ったり、誰かの秘密がばれたり、いさかいがあって誰かが飛び出していくような食事シーンばかりだ。10秒間全員が黙っているシーンは、「何!こんな家族なんて、家族じゃないわ!」と娘がテーブルを叩いて立ち上がる場面のためにある。 「リアリティ」と「現実」とは別物だ。

そんなドラマばかりの中で、僕が若いころに見た「Keiko」という題名の映画は異色だった。 

たとえば、主人公の女性が友人と食事をとっているシーンで、会話は、「その漬物とって」と主人公が言い、これに対して、顔はテレビを見ながら、近くの皿を友人がとってあげるということ以外は「二人がテレビを見ながら食事している」という以外に何も起こらないで、3分間くらいが過ぎていく。しかもこれが、次の場面への伏線でもなんでもないのだ。 物語は、主人公がある男性と出会い、恋をしていくのだが、普通のドラマのように「一途」ではない。あの男も良い。この男とも仲良くなりたいと思いながら、自分に気があるのはどちらかということで、妥協したり悲しんだりしながらも生活していく。そして、男性との間にも「ドラマのような会話」なんか無い。会話のぎこちなさ、しゃべり方、沈黙、それらに「特別な意味」を持たせないで物語は進む。そして、次の進展がまったく予測できない。間に仕事中のシーンが入るが、恋愛の発展にはまったく関係ないし、そこに「意地悪な社員」も、特別な「やりがい」も存在しない。次のデートが翌日だったので、デートの前に仕事をしているだけだ。もちろん「突然の残業で、デートに遅れてしまう」こともない。同僚に恋の相談もしない。

見始めて最初のころは「ドキュメンタリーか?」と思った。映画が終わったときでさえ、タイトルバックで俳優の名前が流れていくことで「やっぱり、つくりものだった」ことを確認した。本当に「日常生活」なのだ。結局二人は結ばれるのだが、「運命の恋」ではなく、男も女も「好意はあるがべつに他の相手でもよい」まま結ばれる。それでもそこにある「幸せ」は、他の安っぽいメロドラマなんかより、はるかに僕の胸を打った。テレビの中でしか起こりえない恋愛ではなくて、僕の、僕の友人の、僕の知り合いの経験した実際の恋愛が見事に描かれていた。

ある意味で、僕の見た映画の中で「ベスト」です。

     

     

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コメント

はじめまして。流れついてきました。この映画については確かに不思議な感覚にさせられます。昔録画したのを最近DVDにおとし、たまに何度も見ています。同じ気持ちの方を見つけ、よくわかりませんがコメントの欄に書いてる次第です

投稿: のり | 2008年7月26日 (土曜日) 午後 08時59分

「のり」さん、コメントありがとうございます。
僕は録画したものは持っていないので、本文の記事は、「こんなような感じだった」という記憶で書きました。だから、正確には「その漬物とって」という台詞があったというわけではなく、そんな雰囲気だったという記述です。ストーリーがきちんとわかっている人に読まれると、恥ずかしい限りです。以前、レンタルビデオ店で探しましたが、DVDもビデオも見つかりませんでした。どこかでまた見れる機会があるといいなとは思っています.

投稿: 管理人 | 2008年7月26日 (土曜日) 午後 09時37分

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