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2008年6月 6日 (金曜日)

Kiss未満の親友③

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27歳頃のこと。

ある女性に「想い」を打ち明け、予想通りあっさりと断られ、「やけ酒」で、片町で一人酒を飲んで酔っ払った日のこと。店を出たのは22時くらいだったろうか。アパートに帰る気が起きず、ぶらぶらと街中を歩いていて、ふと彼女のアパートへ行ってみようかと思った。なんにもならないことはわかっていても、誰かの「慰めの言葉」が欲しかったのだ。

そのアパートに彼女が引っ越したのは1ヶ月くらい前だったはずだ。電話で住所は聞いていたが、行くのは初めてだった。タクシーを降り、部屋を探し当てたが、玄関ブザーは無い。夜、女性の住むアパートに男の大きな声はまずいだろうと、何回かノックしたら、意外と近くで「誰?」と言う警戒気味の声が聞こえた。ドアの隣に風呂の小窓があり、明かりがついていることに気づかなかった。「●●や」と答えると「今、風呂に入っている。鍵を開けるから30秒後に入って、奥の部屋には入らないで、入った最初の部屋で待ってて」と言う。30秒というのは、いきなりだと姿を見られるからだろう。言われた通りおとなしく入り、彼女が風呂から出るときは「見たら本当に殺す」そうなので、これもおとなしく目をつぶっていた。

さて、「何や、こんな時間に」と言う彼女に、「女にふられた」と言うと「またか」と笑いながらも、一応こちらの「なきごと」につきあってくれた。ビールとスナック菓子も出してくれ、こちらがしゃべりたいだけしゃべらせてくれる。へんな「なぐさめ」よりも、ただ聞いていてくれるのが良い。深夜の1時も回った頃、帰るのもめんどくさくなった僕は、「今晩、ここに泊めてくれ」と頼んだ。今の若者は絶対に信じないだろうが、僕らは、過去、学生時代から、僕の部屋でかなりの回数、何にもしないで一緒に寝るということをやっている。本当に「帰るのが面倒」だから泊まるのだ。しかし、彼女はその日は「駄目や」と答えた。これは予想に反した。20歳も後半に入り、「常識」や「世間の目」を考えるようになったかと思ったら、なんと、「隣の部屋に別の女性が住んでいるから、困る」という言葉が返ってきた。

さすがに「えーっ!」と驚いた。入って2時間、ふすまの向こうからは物音ひとつしなかったし、彼女も何も言わなかった。「引越し」を聞いたときも同居人のことは聞いていなかった。だけど、僕が部屋に入った時点で、普通は言うだろう。こちらは「見ず知らずの人」には聞かれたくない「女性にふられた話」を延々としていたのだ。アパートの隣の部屋ではない。ふすまの向こうの6畳2間のうちの1部屋なのだ。驚きながらも、そして遅まきながらも「今晩わ」と声をかけると「今晩わ」という声が帰ってきた。「一緒に飲みませんか」と言ったが、友人の彼女が、「恥ずかしがり屋だから駄目」だと言う。確かにか細い声だ。そして、さすがに「これは泊まれないな」と納得した。一応、「俺が酔っ払って、そこらへんに倒れこんでもいいんか?」と尋ねてみたが、「そんなもん、自業自得や」という返事しか返ってこなかった。

     

     

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