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2008年6月 2日 (月曜日)

「いるんです」

9797222224

若い頃、月に2回は会議で東京に出かけるという時期があった。使うのは、マイカーではなく国鉄(現JR)。遊びの旅行なら絶対に車だが、会議に出るだけなので、楽なほうが良い。好きな時間にトイレに行けること、移動中に小説を読めること、そして駅弁や新幹線のビュッフェも楽しみの一つだった。 そんな、いつものように「米原」経由で東京へ向かう日の、列車の中でのお話。

僕は混んでるか空いてるかなんか考えず、列車は必ず「指定席」に座る。そして、僕の左後ろ方向に男性と女性の乗客がいた。車内がかなり空いていて、二人が大きな声でしゃべるので、会話の内容がテレビの音声のように明瞭に伝わってくる。僕は本を読みながら聞くともなしに聞いていた。

二人は同じ会社の同僚で、出張らしい。男性が先輩、女性は入社したばかりで、二人が同僚となってから日数はかなり短いようだ。男性が「仕事には慣れた?」なんて尋ねている。声の感じやしゃべり方から20歳代前半だと思われた。二人とも若者らしく、明るくて元気だ。ポンポンと会話が弾んでいる。会社の別の同僚の話、仕事の話に始まって、好きな映画、音楽、二人の興味のあること .etc ……。話の感じから、かなり気が合うという感じだ。

列車が「米原」に近づいてきた。そして、男性が軽いノリで、「ところで、●●ちゃんには、恋人はいるのかな?」と明るく元気に尋ねた。そして、女性が、はい、いるんです」と明るく元気に答える。 そして、一瞬の沈黙 ……。

そこから、誰が聞いていても明確にわかるほど、男性の元気が無くなった。本人は、心の動揺を悟られまいと、それまでと同じように話しているつもりなのだろうが、声のトーンがぜんぜん違う。僕はその変化が可笑しくておかしくて、笑いを堪えるのに苦労していた。

   

   

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