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2008年7月 6日 (日曜日)

好きな小説家⑤ 土屋隆夫

        
        
今、僕の手元には、彼の作品が13冊ある。そのうち自分で買ったのは1冊だけで、残りは全て僕がまだ若い頃にある女性にもらったものである。彼女は10歳くらい年上ですでに結婚していた。この土屋隆夫で「本格」と言える長編推理小説を読むようになった。「重厚」と言うべきか。ただ長いだけの小説とはものが違う。引越しのとき「漫画の単行本」は捨て「小説の単行本」は実家に届けるなどで少なくしたが、これを全て持ってきたのは、その内容もあるが、この作家の名前を見るだけでその女性が連想され、手放せなかったからである。
       
影の告発
僕は基本的に同じ登場人物が登場するものはあまり好きではない。特に冒険活劇などでは、シリーズである以上、どんなに危険な場面でも主人公が死なないのははっきりしているから。また、推理小説で同じ名探偵が事件を解決していくのも実はあまり好きではない。面白いものもあるが、名探偵が登場するために物語の設定が限定されているような気がするからである。
これは僕にとって数少ない例外のひとつ。「千種検事」は、このあと別の事件でも活躍していく。まあ、これを発表した時点でシリーズにするつもりがあったかどうかはわからないが。
      
不安な産声
彼は寡作である。そして長編が多い。寡作が名作の条件とはならないだろうが、あまりに多作だと駄作も多くなるだろうと想像してしまう。後で触れるだろうが、この考えで実は「赤川次郎」を最近まで全く読まなかった。反省の弁は後ほど。
この作品は前作の「盲目の鴉(からす)」から実に9年ぶりの作品だそうだ。その間構想を練り続けたのかどうかは僕にはわからないが、そう思っても良いのではないかと思わせるくらいの内容。
      
危険な童話
さて、土屋隆夫の「危険な童話」です。
確か僕が最初に読んだ作品で、彼の虜となるきっかけを作ってくれた作品。まあ、虜にならなくても前述の女性との絡みで作品は読んでいっただろうが。
これを「傑作」「名作」と言わなかったら、小説に「傑作」も「名作」もこの世には存在しないことになるのではないかとも思える作品。小説を読むことが嫌いじゃなくてこれをまだ読んでない人がいたらぜひとも読んでみてほしい。他人に薦められて読んでみたら意外とたいしたことは無かったということも多いが、これは期待を裏切りません。だからこれから読む人のために中身には全く触れないが、一言だけ。
この作品は「序章」から「終章」まで全16章に分かれているが、それぞれの「章」はまず短い「詩」で始まっている。こういう形のものはこれ以降何作か読んだが、それが最も「生きている」のもこれ。
      
ねじれた部屋
短編集「ねじれた部屋」の表題作。刑事が謎を解くのではなく、主人公の女性の心理を描くサスペンス。法律上の「悪」はけして成功はしないものなのか。成功してしまったら読後感も違ってしまうだろうから、それはそれで仕方の無いことなのかもしれない。
      
      

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