好きな小説家⑦ 赤川次郎
「三毛猫ホームズ」シリーズという名前だけで、まず「軽そう」と判断し、「セーラー服と機関銃」「晴れ、ときどき殺人」「探偵物語」という映画になった作品にはその題名から「若者受けを狙っているだけでまともな小説じゃないだろう」と思い、その多作を伝える記事に「本格小説を知らないミーハー向けに書きまくって儲けようとしているんだろう」と本当に思っていました。ただの1冊も読もうとせずに。 一度思い込むと極端にその方向に走るのは僕の悪い癖ですが、全く読まなくてそう思っていたのですから、食わず嫌いも相当なものです。本当にごめんなさい。180度の転換は、角川ホラー文庫がきっかけです。、筒井康隆、高橋克彦、夏樹静子、新津きよみ etc. 当然好きな作家から買っていったが、「全部そろえようか」と思い、あまり好きでもない小松左京、嫌いな赤川次郎、全く知らない小林泰三も買ってみた。そしてこの3人への考え方が全く変わってしまったのだから、僕も単純な人間です。そして改めて「読まなきゃわからない」と思った。そりゃあそうですよね。もっとも、そう言いながら今でも「三毛猫ホームズ」はまだ読まないでいる。「軽そう」で |
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僕が今まで読んだ「ホラー」の中では絶対にBest3に入る作品。夜、ベッドの中で小さな電気だけで読んでいたら、ひさしぶりにトイレに行くのが怖くなった。もう40歳を過ぎていたのに。 部屋が真っ暗でないと寝付けないたちだが、ライトがなかなか消せない。子供の頃楳図かずおの「へびおんな」にもこうだったなと思ったら、そのへびおんなの顔まで思い出してしまった。 本当に何回読んでも怖い。 |
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この作品を初めて読んだとき、涙したのを覚えている。この作品が2時間のTVドラマで放映されるのを知ったとき、「お願いだから原作を壊さないでくれ」と祈りながら見ていた。SF的要素も含まれているが、その家族愛には感動を覚えた。何回読み返しただろう。 |
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必要な金額が自動的に補充される「札入れ」。テーマとしてはショートショート向けとも思えるものをきっちりと心理描写も含めて描ききっている。こんな財布があったら僕なら絶対に手放さないのだが。 |
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自殺しようとする人間の、その一歩手前で知り合った人間との関わりを描く小説というのは、時々見かける。変なハッピーエンドで終わっちゃうと、あの死のうとした背景がそんなことで解決されるのかと思わず突っ込みを入れたくなることもある。しかし逆に結局何も変わらないというのもつらいものがある。この作品はハッピーエンドとは言えないのかもしれないが、「救い」がある。作者の優しさだろう。 |
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