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2008年7月 6日 (日曜日)

好きな小説家④ 阿刀田高

        
      
この作家も読むようになってまだ15年ほどしか経っていない。書店で「阿刀田高」の文字はよく見ていたが、「この名前はなんて読むんだろう」としか思っていなかった。「ショートショート」の第一人者星新一が選者を務めた「ショートショートの広場」という素人作家の作品集シリーズが講談社から出版されているが、10巻めの途中で星新一の永眠により阿刀田高に代わった。故に、最初は「選者」としての彼に触れた。ただ、このシリーズは個人的には星新一に較べ、選考基準がやや甘くなったような気がする。星新一なら7点の作品に8点とか。ごめんなさい。偉そうなことを言いました。正直言ってこのシリーズを読んでいると、「僕にも書けるのではないか」という気になる。長編は最初から書こうと思わないが、本当に短くても良いので、要はアイデア次第。ところが、他人のを読むと「何だこの程度の発想か」と思うこともあるのに、実際書こうとすると「アイデア」って浮かばないものですね。また、短いものほど筆力が問われそう。書いてみたものもあったが、友人にさえ見せようとは思わなかった。
        
熱  病
30歳前後の見知らぬ女性がマンションへ「お入りなさい」と言ってくる。全く理由が無いわけではないが、それにしても素直に入ってよいものか? 僕なら「美人局(つつもたせ)」が恐くては入れないが、主人公は入っていく。やはり熱病に冒されたとしか言えないのだろう。
       
背後の足音
「あやかしの声」という短編集の冒頭を飾っている作品。作者の「追記」で、「当初は地下鉄サリン事件での被害者の味わう「予期せぬ死」を書こうと思ったが、深刻な現実を利用することがためらわれ、書き替えた」旨が記されている。こう書かれると僕も「うかつ」には感想は書けない。
        
「危険な童話」(作品集)
この後で書くつもりの「土屋隆夫」にも全く同じ題名の作品がある。阿刀田高のものは短編でありこの短編集の表題作となっている。土屋隆夫のそれは長編である。土屋隆夫の作品はテレビ化もされている。
阿刀田高の作品には男女のことを描いたものが多い。この中の「蛇」という作品には今の僕とほぼ同じ48歳の一度も結婚したことの無い独身男性が登場する。しかし彼を取り巻く「女性環境」は僕とはだいぶ違っている。そりゃそうだね。今の僕が主人公なら男女の話が進まない。
      
迷  路
僕の家にも昔「井戸」があった。よく夏場にスイカを中に吊るしたものだ。飲料水としてはやはり水道水よりずっと美味しかった。家を新築してからもあることはあるが、なぜか衛生上飲めなくなってしまった。
恐怖小説に井戸は時々登場する。「リング」の貞子も井戸の中に沈められた。この「迷路」では息子を想う母親の盲目の愛にも心打たれる。
      
顔
なんでもない普通の単語であるはずなのに、その言葉が活字や言葉になると本来関係ないはずのイメージが加えられることがある。例えば「女子高生」「女子大生」と聞いただけで変なことを考えたあなたは、僕と同じ中年スケベオヤジです。 「顔」。 これだけでなんとなく恐怖を感じませんか?
      
      

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