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2008年11月16日 (日曜日)

認識に1年半①

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その人物がどういう人物かということを、会社がちゃんと認識するのに1年半かかった者がいた。その人のお話。

ある日、僕の職場に、僕の上司となる40歳台の人物が入社してきた。その会社は、会社内で人を育てるというより、どこかの会社でそれなりの役職についていた者を、「有能な者」として迎えるという風潮があった。そしてその人物も、別の大きな会社で課長をしていたという者だった。

さて、彼が入って3週間も経った頃だった。彼が僕に「1万円貸してくれ」と言ってきた。うわさに聞く彼の給与は僕よりはるかに高いはずだが、まだその給料は支給されていない。だから、生活が苦しいのだという。ちなみに彼は、この会社に入るために初めて金沢に来たこともあり、会社が敷金・礼金を払ったアパートで、会社が買ったテレビ、冷蔵庫、洗濯機等に囲まれて生活していた。前の経歴がどんなに立派か知らないが、お金に関してはホームレス一歩手前だったらしい。僕はこの時点で、すでに彼という人物に疑問を感じ始めていた。

さて、その職場に、バツイチの女性社員がいた。年齢は28歳くらいだったろうか。美人でスタイルも良い。一緒に仕事をしている僕も、彼女と一緒に仕事をできることが嬉しかったのだが、彼女に現在恋人がいることを聞いていた僕は、特に誘いはしなかった。そんな彼女に彼がちょっかいを出し始めた。以下の話は、彼女が退職していく時に「○○さんには、本当のことを知っておいてほしい」と僕に話してくれた話だ。

彼が入社して1週間目くらいのとき、彼が彼女に「お近づきに、一緒に飲みに行こう」と誘ってきたらしい。彼女は、どうせ飲みに行くのなら、みんなで飲みに行きましょうよと答えたが、「いや、一人ひとりとじっくり話したいので、個別に誘いたいんだ」とのこと。それで彼女は断った。しかし、彼はしつこかった。日をおいてまた誘ってくる。彼は、一見紳士的だったので、何回も誘われると、「あまりにいつも断るのも、同僚としてまずいかな」と思った彼女は、その誘いに応じることにした。そして、彼が入社して1ヶ月目くらいの頃に、彼の行きつけの飲み屋に二人で入った。1ヶ月目といえば、僕にさらにもう1万円借りた頃だ。部下に借金をしながら、彼には行きつけの店がすでに金沢にできていた。

彼女はお酒が強かった。それは一緒に飲んだことのある僕も知っている。ところが、店に入って1時間もした頃、全く突然に、しかも強烈な「酔い」を感じたのだという。しかも、普通の酔いなら歩けるはずだが、体がほとんど自由に動かせないくらいのものだったという。まったくの突然にだ。彼女は、「これはおかしい」と思った。僕には本当のところはわからないが、彼女は「何か薬品をお酒に入れられた」と思ったらしい。そんな安物のテレビドラマで使うような手段を実際にやる者がいるのかどうかはわからない。しかし、身の危険を感じた彼女は必死でトイレに入り、そこで恋人に携帯電話で連絡をとり、来てもらったらしい。幸い、恋人の住むところからは、そんなに遠くはなかった。ただ、「薬物を入れたかどうか」という話になると、鑑定には警察を呼ぶ必要がある。会社の上司にそれもまずいだろうと、彼女は、その場は穏便に済ませた。

さて、そんな「事件」があったことなど知らない僕だが、この頃から、彼から彼女の「勤務態度」についていろいろ聞かされ始めた。彼は僕の上司だが、僕はその職場では№2に位置したので、残りの者への指導や監督は僕の責任でもあった。そんな僕に、彼は「△△さんが、こういうことをやった」と悪口を言い始めたのだ。彼女がその会社でも真面目さでは一二を争う人だということを知っている僕は、「本当かな」と思いながらも、その悪口の背景を知らないから、彼女には注意を向けるようになった。しかし、彼女は相変わらず一生懸命に仕事をやっている。だが、ある日、彼女が小さなミスを犯してしまった。

そのミスは、詳しく書くと「会社」が明らかになるので書かないが、誰でもするようなミスだ。5分も叱れば十分だ。ところが彼は「厳罰」を下そうとした。なんと「正社員」で給与25万円くらいの彼女に「パートに格下げする。嫌なら辞めろ」と言い出したのだ。パートの時給は780円。23日勤務で約15万円だ。断じてそんなレベルのミスではない。

僕は怒った。何を考えているんだ。それよりはるかに大きなミスをしながら叱られもしない者はいっぱいいる。彼の「個人的な逆恨み」など知らないから、理由がわからない。そして、残念なのは、「別の会社での経歴」しか見ない社長が、彼を信じて彼に任せていることだ。常務も同じ。専務はいない。その「後ろ盾」をバックに、彼は自分の悪事を知っている彼女を会社から追い出そうとしたのだ。

恥ずかしながら、僕は「反対」に徹し切れなかった。僕も40歳を超えていた。次の仕事のアテはない。強硬な反対は、僕の立場も危うくする。そして、退職が決まった彼女と二人で飲みに行き、僕は上記の「事実」を知った。テレビドラマのような話で、彼女の話を100%信じたわけでもないが、彼が入って数ヶ月が経ち、「部下の活躍は自分の指導の賜物で、部下の失敗は自分には関係ない」という態度に徹する彼の本質がすでにわかっていた僕には、100%ではないが、99%、この話は本当だと思う。そして、この彼女の話で、僕の彼に対する意識は決定的になった。このことが、その後の僕自身の半年後の退職につながっていく。

      

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