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2008年12月10日 (水曜日)

酔って寝たふり①

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お酒を飲むとすぐ寝入ってしまうという人がいる。僕の友人にもそういう人が何人かいるが、僕はあまりそういうことはない。しかし、必要に迫られて(?)寝入ったふりをせざるを得ないこともある。

東京で仕事をしていた頃のこと。趣旨は忘れたが、「飲み会」があった。参加者は、金沢から赴任している社員のうちの半分くらいの者と現地の人たち。現地の人間は全員パートorアルバイトで、ほとんどが女性。年齢も高校生から40歳代まで約15名。まあ、「飲み会」に高校生を入れたことは「時効」ということでお許しを。場所は東京の店舗のうちのひとつの畳敷きの広い休憩室だった。

食べ物もお酒も山ほどあり、会はわりと盛り上がっていたのだが、そのうち、女子高生アルバイト達の話の中心が「男女間の恋愛問題」となってきた。それはどこにでもあることだろうが、参加者に年配の者もいたせいだろうが、表現が少し露骨な言い回しになってきた。僕は、表現が柔らかなうちは、そんな話は嫌いじゃないが、露骨過ぎるのは好まない。やや不快になってきたので、話に加わらない方法として「寝たふり」をすることにして横になった。話が切り替わったら、また「目が覚めた」として飲むつもりだった。

ところが、しばらくして思わぬ展開になってきた。僕が完全に寝入っていると思ったあるひとりの社員が、僕の批判を始めたのだ。彼は僕と日頃から「あわない」人間ではあったが、酔った勢いだろうが、まさかそういう場でそんなことを言い出すとは思わなかった。僕本人がその場にいるのだ。これは「目覚めてはまずい」と思った。しかし、パート・アルバイトでも「彼と親しい人」「僕と親しい人」とにわかれて口論に近くなったときには、「批判」が始まった頃に「起きたよ」とすべきだったと後悔した。ここまできたら、それこそ「眠ってなかったよ」と冗談にできる状況ではなくなってしまった。もうひたすら「寝たふり」をつらぬくしかない。

しかし、「他人の話題」がいつまでも続くはずもない。会の話題は、また別のことに移った。しかし、僕は時間的には「完全に眠った」状態だろう。もう、「起きる」わけにはいかない。「あわない社員」に言いたいこともあるが、言うわけにもいかない。酒も飲めない。くそーっと思っていたら、僕の隣に座っていた「僕と親しい」側の女性の一人が、「●●さんの寝顔って、かわいい」と言いはじめた。それは嬉しい展開だと思っていたが、酔っ払っている彼女が、なんと「落書きしちゃおぅ」と言い始めたのだ。眼鏡をはずされ、顔の表面を何かが動くのがわかる。周りの者の「それ、油性マジックでしょう?洗っても落ちないよ」という声が聞こえる。うそーっと思うのだが、もう、僕は起きれない。ここで目覚めたら、さっきの「批判」のときも起きていたのではないかと疑われてしまう。僕は覚悟を決めた。そして、周囲の「やめたら~」「怒るよ~」という声を無視して、酔っ払いの彼女はたっぷり時間を使って、僕の顔を芸術品にしてくれた。

      

油性マジックは、本当になかなか落ちません。次の日も仕事だった僕は、アパートに帰ってから30分以上、お湯と石鹸で顔を洗い続けた。

      

         

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